京都のホテルの白足袋の女

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これは、京都のあるホテルに泊まった時の話です。

まだ利用したあの部屋があるのかはわかりませんが、ホテル自体はネットで検索すると出てきますから、もしかしたら同じ出来事に遭遇する人もいるかもしれませんね。

一昨年の9月、友人と一週間長期休暇をとり関西横断ツアーを企画しました。

ホテルの手配から何から全て自分たちで行うという本格的なもので計画する事自体がもうひとつの遊びになりつつありました。

大阪、奈良、兵庫、京都と移動していく日程で、最終日はJR京都駅近くのホテルに宿泊する事になります。

私達は思う存分旅を堪能した達成感と疲労感でもう疲れきっていて、シャワーを浴びた順にベッドに倒れこむといった状態でぐっすりと眠ってしまいました。

私達が泊まった部屋はよくある洋室で、これといって問題があるようには見えなかったのですが、深夜、友人と私は恐ろしい体験をすることになりました。

夜、全身が重いような、だるいような不快感に目を覚ますと、体がぴくりとも動きません。

室内は妙に寒く、そして魚のような臭いが充満していました。

助けを求めようにも声も出ず、必死で腕や足を動かそうとするのですが、一切動くことがありません。

息苦しさがいっそう強まり、それと同時に胸のあたりにぐっと圧力がかかりました。

反射的に胸を見ると、白いたびが目に入りました。

そのままするすると上を見れば、薄汚れた着物をまとった女がいるのです。

その女は長い黒髪をふりみだし、血走った目でこちらを凝視していました。

その女と目があった瞬間、息ができなくなり、ピキーンという金属音が頭の中に鳴り響きました。

徐々にブラックアウトする視界の中央で、その女の敵意に満ちた視線だけが頭にこびりついていました。

ふと気が付くと、私は友人に揺り起こされていました。

なんでも、友人も金縛りにあい、隣にいる私の上に着物を着た女がのっていたのを見た、というのです。

酷い夢を見た、と起きると、異様に静かに横になる私の姿があり、怖くなって息を確かめるとしていなかったから慌てて起こしたということでした。

私はこの旅の間中、友人に指摘されるほどにいびきをかく体質で、静かに寝ることはありませんでした。

だからこそ、異様に静かな私に異常を感じ取ったのでしょう。

私も友人に着物を着た女が真上に立っていたのだと告げると、ふたりとも急に怖くなってきてしまい、まだ深夜でしたが電気をいっぱいにつけて神社で買ってきたお守りを握りしめて夜を明かしました。

チェックアウトができる時間ぎりぎりで荷物をまとめ、ロビーで昨夜の出来事をそれとなく話すと、申し訳無さそうにお詫びをされました。

ホテルマンの謝罪の慣れ方に、友人も私もとっさに相手から渡された割引券を受け取ってしまったのですが、後から友人と話す度に、よくあることだったのではないかと言い合っています。

というのも、その後ネットで調べていくと、あのホテルは曰くつきであるという書き込みがちらほらとあったりします。

もしあの部屋に泊まる方は、二人で宿泊したほうがいいでしょう。

友人はそうとは思っていませんでしたが、私は友人に起こされていなければ、もしかしてそのまま息を引き取っていたかもしれないと考えているからです。

京都のホテルに泊まる時には気をつけてくださいね。

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