闇バイト
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以前バイトをしていたとき、音楽の専門学校に通っている同僚のYさんがいました。
男性の年上の方で生活費を稼ぐためにバイトを掛け持ちしていたそうです。
ある日Yさんが通っている専門学校の先輩が部屋に人形を置くだけで10万円稼げるバイトを彼に紹介してくれました。
所謂「闇バイト」だったらしいのですが、欲しい音楽機材のためにYさんはそのバイトを引き受けたそうです。
Yさんがバイト先に行くとミニバンの車に三体の人の形・大きさをした人形が乗せられていて、紹介してくれた先輩と2人で五階建ての少し古いアパートにその車で出かけました。
アパートにつくと数箇所「棟」があってそのうちの一棟の3階と2階と1階に人形を置きに行くことを説明されました。
人形を南側の窓にあたかも人影のように前の棟から見える位置に置くこと、それと手渡されたものが耳栓でした。
部屋に入る前に必ず耳栓をつけることを言われ、Yさんは奇妙に感じ「そういうことって本当にあるんだな」と思ったといいます。
何をされても耳栓をとってはいけないぞ!と先輩に念を押され、先輩は3階に人形を一体持って向かいました。
Yさんは指示通りに2階に人形を置き、残りの一体を1階に運びました。
1階の部屋に入ると少し寒気を感じましたが、この一体を置けば10万円だと思うと寒気や冷や汗も我慢できたそうです。
ただ1階には南側の窓の側に棚が置いてあり、人形の配置に苦戦して少し時間がかかりました。
配置に迷っていると方をポンポンと叩かれたので先輩が見に来てくれたのかと振り返ったそうです。
しかしその場にはYさんしかいなく、その瞬間いままで我慢していた全てが大きな恐怖に変わり座り込んでしまいました。
しばらくして落ち着きを取り戻し人形を配置するとヨタヨタと足を引きずりながら部屋を出ようとドアに向かったそうです。
その時人形の足がYさんの足に引っかかり転んでしまい、さっき座り込んだときに緩んでいたのか右側の耳栓がぽろっと彼の耳から落ちてしまいました。
気がつくとYさんは車の前にいて先輩のズボンにしがみつき彼は、涙を流していたそうです。
先輩が「Yが部屋から耳をふさいで飛び出してきて一時間くらいずっとしがみついて泡吹きながら泣いていた。」と話してくれました。
「そうだった」とゆっくりYさんは、そのときの出来事を思い出していったそうです。
先輩には、「お前は向いてないから次はないってオーナーが言ってくれたよ。安心しな。」といわれオーナーからは契約時のときより多く15万円わたされたといいます。
「実は先輩、人形を置きに行くとき耳栓を持っていかなかったんだ。アレが聞こえない先輩って本当に霊感がねーのな。」と笑いながら話すYさんのタバコを持つ手が震えていました。
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