目覚めると、私は白いベットに寝かされ、周りを白い服を着た人たちに囲まれていました。
何故、私はここにいるのか?考えてみても何も思い出せないし頭もぼんやりしています。
声を出そうとしても、麻酔をかけられているのか、体も動かないし声もでない。
この人たちは一体何をしようとしているんだろう。
周りの状況がわかってくると、どうやらここは手術台で白い人たちは医者のようです。
私は事故にでも遭って入院したのだろうか?
やがて、一人の医者が乱暴に私の胸を切り開きました。
まるで死人でも扱うような乱暴さに私は怒りを感じました。
そんなに乱暴にしないでよ!なんて医者なんだろう。
でも、体も口も動かない状態なので抗議することもできません。
私の体の中でゴソゴソと動く感覚が続きました。
そして私の体の中から出てきたものは、心臓でした。
私の心臓・・・
なんてことなの・・・
大至急〇〇病院に運んでくれ!
一人の医者が言い、私の心臓はクーラーボックスで何処かへ持って行かれてしまいました。
いったい、私はどうなったというのでしょう。
医者たちは、私の体を簡単に表面だけ縫い合わせ、いなくなってしまいました。
暫くすると、私は冷たい部屋に運び込まれてしまいました。
なんて酷い人達なんだろう・・・
私はここで死んじゃうんだ・・・
まだ死にたくない・・・
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とある病院でのこと
目が覚めると、父と母が泣き笑いしています。
「目が覚めたのね!良かった。」
「手術は成功したのよ、もう大丈夫だからね。」
母の声に、私も涙が出てきました。
安心した私は、また眠りに入りました。
夢を見ていました。
夢の中で、私と同じくらいの年の女の子が泣いています。
「心臓を返して・・・ 私は生きているのよ・・・」
以後、私は同じ夢を何度も見るようになり、その夢を見た後は必ず体調が崩れます。
私の心臓の提供者は、どんな境遇の人だったのか不安です。
事故で死んだ娘の家族
〇〇子は、事故で死んじゃったけど、あの子が心臓提供の意思表示をしていたなんて・・・
〇〇子の心臓だけは、今も幸せに生き続けているんだわ。
〇〇子も、人の役に立てて喜んでいることでしょう。
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