逢魔が時とむじな
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この話は、群馬県の館林市に住んでいる友達から聞いた話です。
その友人の家は刀根大関から県道を進んでいき、狸塚(むじなづか)という交差点を右に曲がって進んでいったところにあり、常々狸塚という名前が気になっていました。
その日、友人に会った時に聞いてみると、おばあさんから聞いた昔話なんだけど、と話を聞かせてくれました。
まだこの辺に信号もなく車も走っていなかった頃の話だそうです。
この辺りには民家も少なく、あそこは単なる四つ角で裸電球が一つあるだけで、四つ角の先は原野のようになっていて夜になると誰も通る人のいない道だったと言います。
そして、その四つ角は夜になると「むじな」が出るという噂があり、そのせいもあって暗くなると誰も近づきませんでした。
そして、おばあさんが言うには、世の中は一日中人間が支配しているわけではなく、人間が支配しているのは昼間だけで夜の闇は魔が支配するしているというのです。
そして、昼と夜の繋がる時間を「逢魔が時」と言い、魔物と人間が遭遇してしまう恐ろしい時間だと言います。
そして、それは正確な時間ではなく、光が無くなるまでと闇が包み込む間の曖昧な時間だそうです。
昔の人は皆、「逢魔が時」を恐れ、何かに追われるようにして日没前に家に帰るんだそうです。
ですが、どうしても帰り道の途中で暗くなってしまう事はあります。
ちょっと前まで明るかったのに太陽が沈んでしまい、街灯等もないため闇の中に身を置いてしまう時間。
その時にあの四つ角を通ってしまった人間は、魔の洗礼を受けるんだと言います。
あの四つ角を夕暮れ時に通りかかると、着物姿の女性が俯いて街灯の下に佇んでいるといいます。
その姿を見かけても、絶対に話しかけてはいけないといいます。
心配して、うっかり話しかけてしまうとその女性が振り返るらしいです。
そして、その顔には目も鼻も口も無く、ただ毛が生えているんだそうです。
何故か、その毛しかない顔は、とてつもなく恐ろしく見えると言います。
むじなの顔を見てしまった人は、高熱で寝込んでしまい、最悪は死んでしまうそうです。
おばあさんの話では、魔の時間を犯した人間にむじなが罰を与えているんだと言います。
狸塚の地名と信号名は、やはり「むじな」に関係していたようです。
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