ある村では、夜中に外出することが、固く禁じられていました。
深夜0時から5時までは、いかなる理由があろうとも家を出てはいけないという掟があったそうです。
深夜0時から朝方5時までは、夜叉の時間なので、人間は活動してはいけない時間だというのです。
その昔、この村では村人が何者かに襲われて殺される謎の事件が多発したそうです。
村の長老は強い霊力のある人だったらしく、それが夜叉の仕業だと言ったそうです。
そして長老は夜叉を封じ込めようとしましたが完全に封じ込める事はできず、考えた末、夜叉に深夜0時から朝方5時までの時間を自由にさせることを約束し、村人の日常の時間の安全を守ったそうです。
その夜叉との契約の後、その村の掟として、0時から5時は「いかなる理由があろうとも一切外出禁止」となり、「掟を破った場合は夜叉の呪いによって死ぬ」となったそうです。
実際には呪いではなく、夜叉との契約で0時から5時までの間に出歩いていると夜叉に殺されてしまうという事が、月日が流れて「呪い」というふうに変わってしまったそうです。
長い間、村の住人は皆、夜叉の存在を意識し、掟を守り暮らしていたそうです。
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そんな風習のある村ですが、時代は流れ宿泊施設等も増えてきたことで夜中に外出する人も多くなってきたと言います。
そして、村の若者でさえ、深夜の外出をするようになったと言います。
若者にとっては、掟など古い昔話でしかないのでしょう。
村の老人の話では、村が栄えてきたのと同時に不審な殺人事件が増えたという事です。
老人は、夜叉はいまでも、獲物を求めて深夜の村を徘徊しているといいます。
このまま夜叉との契約を破る人間が増え続けることによる夜叉の怒りが怖いといいます。
何故私がこの話をしているかって!
私はこの村で原因不明の不審死をした友人のために、原因を知りたくてこの村を訪れたのです。
結局原因不明でしたが、友人が死亡した時間は深夜2時だったのは事実です。
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