その友人は、その昔いじめっ子だったのです。
私がその友人と友達付き合いを始めた頃には想像もできないことでしたが、昔はかなり陰湿ないじめを行って、自殺者も出してしまったそうです。
今ほどにいじめによる自殺が大事にならなかった時代でしたので、彼も特にお咎めなしということになったそうです。
ところが、そんな彼もいじめていた生徒の自殺をきっかけに人が変わったそうです。
厳密に言えば、自殺の後に起こった、ある出来事に由来するのだそうです。
彼は高校時代から親元を離れ、一人暮らしをしていました。
その頃、彼の家には毎日のように手紙が届くようになったそうです。
差出人不明の手紙には、何も書かれていませんでした。
書いてあったのは表面に彼の名前と住所のみ。
最初は間違いかと思った彼でしたが、差出人が不明なこと、何日も続けて白紙の手紙が届くことにイライラしてきました。
そして、手紙が届くようになってから数日後、ついに手紙は白紙ではなくなりました。
手紙に書かれていたのは、彼がいじめていた生徒に対して下仕打ちの内容が細かに書かれていました。
しかも、毎日違う内容が書かれていたのです。
さらに言えば、友人が記憶している限りで時系列順にいじめの内容が書かれていたのです。
当時を知る誰かの仕返しかと思った彼は下宿先に来た通便配達員を捕まえて、自分宛の差出人不明な郵便物は届けないように頼みました。
しかし、その配達員は彼の名前に見覚えがありませんでした。
そんなはずはない、毎日届けられているのだから、と彼は反論しましたが、それこそ覚えているはずだが、ここ数ヶ月で彼の自宅まで郵便物を配達した覚えはない、と言います。
念のため、白紙の手紙を見せてみることにすると、配達員は予想外のことを言ってきました。
こんなもの届けるはずないよ、だって、切手が貼ってないんだもの。
そう、彼は切手が貼られていないことに気がついていなかったのです。
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ということは、
誰かが直接ポストに投函しているのではないかという結論に至り、隠しカメラで監視することにしました。
カメラを設置した翌日、彼はポストに投函されている新しい手紙を確認すると、それを投函した人物を知るためにビデオを確認しました。
しかし、そこには誰も映ってはいませんでした。
ポストに何も入らないように細工しても手紙を入れられ、怖くなってポストの中身を確認しなくなると、ポストがいっぱいになったせいか、今度は彼の部屋に直接、手紙が届くようになりました。
彼は学校を休み、自殺した生徒の墓に行って土下座して許しを乞うたそうです。
その日から、手紙は届かなくなったそうです。
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