呪いの櫛
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その日は母方の祖父の葬儀でした。
と言っても、私はまだ子供だったので、一応ついて行くだけついて行って、ほとんど祖母の家で遊んでいただけでした。
そんな感じのいとこが数人いたので、私たちは子供だけで遊んでいることにしました。
とは言え、あくまでも葬儀だったので騒がしくしているわけにもいかず、家の中で静かにしていることが前提となっていました。
私たちは、普段は立ち入らない部屋があったので、そこに入ってみることにしました。
そこは物置にしては人が暮らしていそうな雰囲気のある、良く言えば「散らかった部屋」か、「物だらけの部屋」のような感じでした。
そこには棚がいくつかあり、私たちはそこを漁ってみることにしました。
しかし、ほとんどの棚には鍵がかかっているようで、鍵が掛かっていない棚には何も入っていませんでした。
そんな中、
鍵の掛かっていない棚の中に「櫛」が入っているのを発見しました。
凝った装飾の施されたその櫛は、いとこの中でも女子勢の人気を集めていました。
その中の一人がその櫛で髪を梳こうと試みました。
次の瞬間、ブチブチっという音と、彼女の悲鳴が聞こえました。
見ると、彼女の髪がかなりの量、櫛に引っかかってちぎれてしまったのです。
その子はとても痛がって泣いていました。
私は、その子が落とした櫛を見ていましたが、そこには櫛が、まるで「咀嚼」をするかのように髪を貪っている光景がありました。
次の瞬間には髪の毛は食べきられたのか、無くなっていました。
鳴き声を聞きつけた大人たちに見つかり、私たちは部屋から出ていきました。
その背後、大人たちは櫛を拾ってそれをへし折り、それを竈にぶち込んで燃やすと言っていました。
たかが櫛にそこまで、と思いましたが、先ほどの光景を目の当たりにしていた私は、不思議と納得してしまいました。
その櫛のことを聞こうとしましたが、大人たちは何も話してはくれませんでした。
ただ、例の櫛が、「使ってはいけなかった物」であることは話してくれました。
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