古民家の日本人形の呪い
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私の友人に物静かでいつも虚ろな目をしている現実離れしたS子がいました。
とても整った顔立ちをした美人なのですが、話をしていても上の空な感じなので周囲からは気味悪がられることが多かったようです。
そんなS子は大きな屋敷に住んでいて上品ではありましたが、明るく活発な子でした。
私とS子は何かと気が合い、特に仲が良かったので彼女の性格は良く解っているつもりでした。
S子が現実離れした周囲からも気味悪がられるようになったのは、中学2年の冬休みが終わり新学期が始まってからでした。
何を話しかけても、上の空で意味不明な返事しかしません。
私が、「どうしたの?何かあったの?」と問いかけても曖昧な返事しかしません。
S子は、ずっとそんな調子なので、何時の日か友達も寄り付かなくなりました。
私は、S子のことがどうしても気になり、嫌がるK子に頼み込んで二人でS子の家に行ってみることにしたのです。
S子の家には前に何度か遊びに行ったことがあるので、両親からも何か聞き出せるのではないかと思ったのです。
久しぶりに行ったS子の家は、異様な雰囲気で、まるで無人の廃墟のように感じました。
両親は留守のようで、S子が私達が来たことに驚きもせず、静かに出迎えてくれました。
家に入るとS子は自分の部屋ではなく、まず床の間に私達を案内しました。
そこには立派な日本人形が飾られていて、S子は日本人形に向かって跪き何か呟き始めました。
その姿は、日本人形に何か許しを願い出ているように感じました。
その後、S子の部屋に通されたのですが、前に来た時とは部屋の様子がまるで変っていました。
女の子らしかったS子の部屋は机とベットだけが無機質に置いてあるだけで装飾品も何もなくなっていたのです。
そして、部屋の4角には何かのお札が貼られていました。
部屋に私達を入れると、S子は急に泣き出し、一気に話し始めました。
「冬休みにお父さんがあの人形を持ってきてから、私は何処にいてもあの人形に見張られているの。」
「友人がどうしても貰ってくれというので貰い受けたとても高価な人形だっていうんだけど。」
「最初はお母さんが掃除中に人形の左手を折ってしまったことから始まったの。」
「その日の夜にお母さんの夢の中に人形が出てきて、凄い形相でお前も私と同じにしてやる。と伝えたの。」
「次の日、お母さんは事故で左手を切断しちゃって!」
「それから、私達家族全員が人形の夢を見るようになって。」
「夢の中で人形は【お前たちの命は私の一存でどうにでもなる】と言い、【私に従え!】というの。」
「お父さんは、知人の伝手で徳の高いお坊さんからお札を貰ってきて私の部屋に貼ったんだけど、その後階段から落ちて足が動かなくなっちゃったの。」
「今は病院に入院中でお母さんも付き添いをしてるの。」
「私もこの部屋にいる時以外は、何時でも人形に見張られているのよ。」
「何処にいても、あの目が私を見つめているの。」
以上が、私とK子がS子から聞いた内容です。
S子は次の日から登校してこなくなり、それ以来会っていません。
先生の話では、急に転校することになったという事です。
その後、私は何時も何かの視線を感じ怯えるようになってしまいました。
最近元気のないK子に話しかけると、やはり何かの視線を感じて怖くて仕方ないといいます。
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