私は仕事柄、1日に何キロも歩いて移動しています。
ある日、私は普段、休憩に使用している公園のベンチの上に人形が置かれているのを発見します。
よく見ると、プレートを首から下げていて、そこには住所が書かれていました。
おそらく、誰かがここに忘れてしまい、届け先を分かるようにしていたのでしょう。
ちょうど、休憩後に向かう先に近かったので、ついでに届けることにしました。
用事も終わり、私は人形のプレートに書かれていた住所までやって来ました。
呼び鈴を鳴らしてしばらく待つと、出てきたのは人形の持ち主とは考えられないような老人が立っていました。
おそらく、彼のお孫さんの人形かな、と思い、人形を届けに来た旨を伝えると、その老人は顔を引きつらせ、その人形を奪って首のプレートを外し、人形だけを遠くへ投げ捨てました。
その後、何も言わないままドアを閉められました。
その後は部屋の中から叫び声のようなものが聞こえましたが、深く関わらないほうが良いと考え、そのまま次の目的地に向かいました。
数ヵ月後、また同じ公園で休もうと思ったら、例の人形がまた鎮座していました。
今度も首からプレートを下げていますが、書かれている住所は前回とは違う住所でした。
仕方なくまたその人形を届けてみることにしました。
しかし、またしても届け先では人形の受取を拒否されてしまいます。
今回は、渡すまもなく締め出されたので、人形は近くのくずかごに捨てることにしました。
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その数週間後、今度は私の元へ人形が届けられました。
話を聞くと、例の公園のベンチに鎮座していて、首から下げたプレートには私の家の住所が書かれていました。
心なしか、同じ人形のはずが表情が変わって見え、恨めしそうに私を睨んでいるように見えました。
怖くなった私はプレートだけを受け取り、その人形は受取を拒否しました。
その後も何度か人形が届けられるようになり、私は知り合いの神主に頼んでお祓いをしてもらいました。
それが功を奏したのか、以後は人形が届けられることも、見ることも無くなりました。
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