絡みつく髪と呪われた自転車

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私は転勤で他県に行くことになりました。

自動車免許を持っていなかった私の移動手段は「自転車」でしたが、転勤先で新しい自転車を買うことに決めていたので古い自転車は処分することにしていました。

それを上司に話してみると「確か○〇君が自転車を欲しがっていたな。処分するのならあげたらどうだ?」と聞いたので、その人物に自転車を譲ることにしました。

ある日、既にこちらでの勤務を全て終え、引越しの準備をするためにホームセンターに行きました。

おそらく、このホームセンターまでの往復がこの自転車に乗る最後の機会になると思うと少し感慨深い物になり、帰り道は少し遠回りすることにしました。

思えばこの日にいつもどおりの道を選んでいればこんなことにはならなかったのかと、今でも後悔しています。

その遠回りの途中には墓地がありました。

普段は通らない道でしたが通るときは素通りです。

しかし、その日はいつもと違っていました。

突然、何かに呼ばれた気がして自転車を止めました。

しかし、周囲には人影はなく、声ももうしません。

気のせいかと思って自転車を漕ぎだそうとすると、ペダルがとても重く感じました。

あまりの違和感によろめいてしまった私の目に写ったのは、タイヤに絡みつく無数の「黒い糸のようなもの」でした。

ビックリしてペダルを強く踏むと、ブチブチっという音をたててそれらを引きちぎりました。

それが原因だったようで、自転車は何事もなかったのように走り出すことができました。

思えば、あれは「髪の毛」のようにも見えました。

そして引越しの準備も終わったあとで、自転車を譲る相手が家まで自転車を取りに来ました。

渡す前にしっかりと整備・洗浄しておいた自転車を見て彼は喜んで自転車を受け取り、そのお礼にとお菓子を貰いました。

彼はそのまま自転車に乗って自宅に戻って行きました。

彼に会ったのは、それが最後でした。

転勤も引越しも無事に終わった私は、職場で妙な噂を聞きました。

自転車を譲った彼が、事故を起こして怪我をした、という内容でした。

それだけではありません。彼には奥さんがいましたが、彼が怪我をした後にその自転車に乗っているとき、トラックに撥ねられて死んでしまったというのです。

まるで、その自転車に呪われているのではないか、という話でした。

噂話をしていた社員たちは、私が自転車を譲ったということは知りません。

話には続きがあります。

奥さんが亡くなった事故の目撃者は、奥さんが2人乗りをしていた的なことを証言したのです。

しかし、付近の店の防犯カメラには奥さんしか乗っていないことが映っていたそうです。

実際、現場には奥さん以外に死者はおろか、怪我人すらいませんでした。

その人は、目撃した同乗者は奥さんの手を抑えるようにしてハンドルもブレーキも操作できないようにしているように見えた、という話です。

私の脳裏にはあの日、墓地で絡まった「黒い糸のようなもの」の姿が浮かびました。

未だに、あの日見たことは誰にも打ち明けられずにいます。

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