学生時代の友人の中に、少しぽっちゃりした女性がいました。
彼女は、幾度となくダイエットを試みましたが、何度も失敗してはリバウンドに苦しめられた、と話していました。
ある日、彼女は少し変わったアクセサリーを身につけていました。
ネックレスだったのですが、あまり見ないようなデザインだったので彼女に話を聞くと、駅前の露天で見つけたもので、ダイエットが成功するお守りなのだそうです。
そういった眉唾ものを信じていなかった私の横では、昼食代わりにペットボトルの水を飲んでいる彼女の姿がありました。
それからしばらく、彼女は昼食に水しか飲んでいませんでした。
今までここまで長く続くことはなかったので、私は少しばかり感心していました。
それと同時に、ダイエットの効果があらわれたのか、彼女は確かに痩せているように見えました。
頑張っている彼女に、噂になっているダイエット食品を勧めてみたところ、彼女は断固としてそれを食べようとはせず、相変わらず水ばかり飲んでいました。
しかし、彼女は痩せているというより、痩せこけているといった表現が似合うほどになっていました。
その間、彼女が口にしているのは水ばかりでした。
サークルなどの飲み会に誘っても絶対に来ようとせず、お菓子や飲料水を勧めても絶対に口にしようとはしませんでした。
私は心配になって「ちゃんと食べているのか」と聞きましたが、その質問に対しては上の空でした。
ある日、とうとう彼女は倒れてしまいます。
私とは別の講義の最中、急に意識を失って倒れてしまったのだそうです。
キャンパス内に救急車が到着していたのでよく覚えています。
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数日後、彼女のお見舞いに行ったとき、彼女は話していました。
ここ数日、水しか口にしていなかったが、そうした理由が分からない。
いくらお腹が減っても、水以外は口にしようとは思わなかった。
結局かなり痩せることはできたが、今では水を飲もうとは思っていない、ということらしいです。
私はもう一つ、例のネックレスについて聞いてみると、いつの間にか無くなっていたそうです。
そこまで高価なものではなかったので気にしていなかったそうですが、どうにもそれを身につけてから、水しか口にできなかったそうです。
一体、なんの呪いでもかけられていたのでしょうか。
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