仏像の破片

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これは、私と私の友人A子が6年前に体験したことである。

当時、タイの首都バンコクにあるタマサート大学周辺に住んでいた私のもとに、日本にいる友人A子から電話がかかってきた。

A子は電話口で、もうすぐ結婚することが決まったのでそれを伝えに電話をした。

そして、結婚前に一度、海外旅行をしてみたい。

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しかし、一人で海外を旅行するのは怖いので、私がいるタイを訪れたい。

できれば、2、3日泊めてもらえないだろうかと私に言った。

当時、私はまだ仕事をしており旅行には同行できないと伝えたが、何かあったとき頼れる友人がいる方が心強い、泊めてもらえるだけでありがたいとのことだった。

私も同行が必要ないのならばと快く承諾した。

そして、その電話から約1ヶ月後、A子は私の家を訪れた。

A子 は英語もタイ語も堪能ではないので日本語が話せるタイ人のガイドを頼んだといい、次の日に観光に行く予定のワット・シーラッタナーサーサダーラーム寺院。

通称エメラルド寺院について楽しげに話していた。

次の朝、日本で予約をしていた観光ガイドが私の家までA子を迎えにきてA子は嬉しそうにに観光に向かった。

私も仕事が溜まっていたのでA子を見送った後、仕事場に向かい、家に帰ったのは夜の8時頃であった。

合鍵は渡してあったので特に心配はしていなかったが、少し遅くなったので急いで自宅に入ると何故かヒヤッっとした寒気に襲われた。

A子が冷房をガンガンにきかせているのかと考えたが実際はそうではなかった。

しかも、A子の靴があるのでA子が帰っているのはあきらかだか、部屋の電気をつけていない。

「何をしているのだろうか。」

私は不審に思い部屋の中を見渡すとA子が寝ていた。

「なんだ寝ていたのか」

安心するのと同時に疲れが出てきて私はお風呂に入ることにした。

服を脱いで、鏡を見ながら髪の毛をまとめていた時のことである。

背後に黒い影のようなものがサッと横切るのが見えた。

「なんだろう。気のせいか。」

私は少し、気にはなったがそのまま、お風呂に入った。

お風呂から出た後、髪の毛を拭きながら寝室に行くとA子がうなされているのに気が付いた。

汗をだらだらとかいて、体を左右にゆらしている。

私はA子を起こそうと試みるが、A子はうわごとのように何かを言うだけで一向に起きる気配はなかった。

その後、私も寝てしまい気が付いたら朝になっていた。

「昨日の観光はどうだった?」私はA子に話しかけながらかの彼女に近づいた。

しかし、A子の顔を見た途端、私は唖然とした。

A子は目に見えてやつれた顔になっており、目の下には紫色に変色した隈がくっきりと浮かんでいた。

「どうしたの?大丈夫?」と私が聞くも彼女は「大丈夫。きっと昨日食べたタイ料理にあたっただけよ。」と答える。

しかし、どう考えてもそれが原因とは考えられないようなやつれ方であった。

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結局、タイ旅行は中止。

A子は日本に帰国するまでの2日間、私の家で寝たきりになってしまった。

その間、私が見た黒い影のようなものは5回にも及び、それが見えた後、A子は決まって悪夢にうなされ、苦しさのあまり体を左右に揺らすのであった。

なんの夢を見たのかと聞いてみるも、覚えていないと言われどうしようもなかった。

A子が帰国する日、私は彼女を空港まで送り何かあったら何でも言うようにと伝えA子と別れた。

その後、黒い影を私が家でみることはなく、やはりA子に付いた何らかのものではないかと考えていた矢先、

主人が出張先のチェンマイから戻ってきた。

私は、タイ人の彼ならば何か知っているかもしれないと彼に聞いたところすぐに「エメラルド寺院に行ったの?あ~、もしかして、ガイドに言われて、そこの仏像にはめてある鏡の石を記念に取ったんじゃないかな?」と指摘された。

彼が言うには、ガイドに言われて観光客の多くがその石を記念に持って帰るが、彼らは体調不良や悪夢にうなされるのだという。

そのため、その石を返還するために年間何百というエアメールが寺院に届けられるのだとか。

大体は返還すれば体調不良や悪夢は終わるが、稀に、石を寺院まで帰しに行き、謝るまで不幸が続く場合もあるのだという。

私はすぐさまA子に電話をかけると案の定、ガイドに言われて記念に石やその辺に落ちていた仏像の破片を持ち帰ったとのこと。

すでに、彼女は日本で手の骨をおる怪我をおっており、怖くなった彼女は結局、次の週の土日を使ってその石を返しにタイまで再びやってきた。

その後、日本に帰った彼女を不幸が襲うことはなく、悪夢にうなされることもなくなったという。

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