忘れられた人達
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私は廃墟マニアで、友人と2人で廃墟巡りをするのが趣味でした。
怖い場所が好きというのではなく、廃墟のレトロな感じがたまらなく好きでした。
様々な廃墟を巡りましたが、怖い物を見たことはありませんでした。
あの夏の終わりに、ある廃墟に行くまでは!
私と友人がその廃墟に着いたのは、午後3時頃だったと思います。
その廃墟は、かなり有名な場所らしく私達の他にも何組かの見学者がいて観光名所のような雰囲気でした。
「この廃墟は珍しく人気あるんだね。」
人がたくさんいて、活気さえ感じる廃墟に、驚き半分、ガッカリ感半分といった感じでしたが、とにかく写真を撮りまくろうという事で、私達は思い思いに撮影に専念していました。
人が多いので、写真に写り込まないように注意して撮影しているせいで思いのほか時間が経つのが早かったようです。
気が付くと薄暗くなってきていて、いつの間にやら人影もまばらになっていました。
私が「ねえ、そろそろ暗くなってきたし、人もいなくなってきたから帰ろうか。」
私が言うと、友人は「何言ってるの?人一杯いるじゃない。」
と言いながら周囲を見回し、驚いた顔をしています。
「あれ、そんなはずないのに。」
友人の驚いた様子が可笑しかったので、私が「夢中になりすぎだよ。」というと、友人は「だって、さっきまで人を避けながら写真撮ってたんだよ。」と納得のいかない様子でした。
とにかく、写真も撮ったことだし帰ろうということになり、友人も何か言いたそうでしたが渋々という感じで帰途につきました。
その夜、友人から電話がありました。
友人は泣きながら「今日の写真、大変なことになってるから、すぐに家に来て!」と言うのです。
私は尋常でない友人の様子に、すぐに友人宅に行きました。
友人の写した写真を見て、私もビックリしました。
友人の写した写真には、どれも大勢の人が写り込んでいるのです。
しかも、服装が今の時代の人ではない事がハッキリわかりました。
「これ、昔の人が一杯写ってるじゃない!心霊写真だよ、怖いね。」
私が言うと、友人は「そうじゃないのよ、良く見て!」と写真の中央を指差します。
写真をじっくり見てみると、中央に写っている人の顔・・・
その顔が、私と友人の顔だったのです。
そして、周囲の人達は私達を観察するように見ているのです。
それに気付いた瞬間、あまりの恐怖に全身に震えが走り、涙があふれ出てきました。
それ以来、私も友人も廃墟には一切行っていません。
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