私の小学校時代の友人の一人に、飼育委員に所属している生徒がいました。
ただ、彼はそこまでやる気がないようで、しょっちゅう委員会の仕事をサボっていました。
学校で飼育していたのは数羽の兎(ウサギ)で、彼が担当の日は餌が入れ忘れるなどのことがありましたが、兎たちは何とか生き延びていました。
夏休みのある日、私は友人数名と一緒にグラウンドで球技を楽しんでいました。
そんな中、急に例の友人が参加してきました。
私は、その日彼が飼育委員の担当の日だったことを知っていたので聞いてみると、既に仕事は終わらせてきたと言っていました。
私は半信半疑でしたが特に気にせずに球技を続行することにしました。
しかし、急に天気が悪くなり、大雨が降ってきたので私たちは急いで帰ることにしました。
その翌日、登校日で学校に来ると、兎小屋の方で騒ぎが起きているのを見つけました。
中は見えませんでしたが、どうやら兎たちが野犬に襲われて全滅したということを知りました。
入口は施錠されておらず、昨日の担当だった友人が疑われましたが、彼はきちんと施錠したと主張しました。
施錠と言っても南京錠のような鍵が付いているわけでなく、誰でも開けられるような仕組みだったと記憶しているので、偶然開いたのだろうということで決着したようです。
私は、彼が委員会の仕事をサボって私たちの遊びに参加したことに気がつきました。
その年の2学期の始業式の日、彼が転校したことを知りました。
その数年後に、私は卒業していた小学校に用事があり、職員室を訪ねていました。
用事を済ませたあと私は生徒たちが噂話をしているのを聞きました。
私は気がつかれないように聞き耳を立てていました。
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話の内容はこうです。
数年前、兎たちを見殺しにした生徒が兎に呪われたらしい。
兎の幻を見るたびに車や自転車に轢かれそうになり、毎晩夢の中に出てきて噛み殺されるシーンを見続けたらしい。
結局、最後まで死ぬようなことはなかったものの、数日のうちに体重は激減し、兎に対して極端に恐怖を感じるようになったのだとか。
学校はやめざるを得ず、精神病院に入院することになったのだとか。
今でも兎たちの霊は学校に留まっていて、既に何も飼育していないはずの兎小屋に、夜な夜な何かの影を見る目撃者が絶えないらしい。
その話を聞いて、間違いなくあの友人の話であることに気がつきました。