僕は昔からあまり人付き合いが得意じゃなくて、いつもいじめられていた。
外で体を動かすよりも、家の中で本を読んでいる方が好きなタイプだったせいもあって、僕はあまり明るい性格ではなく、それも手伝って友達はまったくできなかった。
勉強も、国語以外は不得意で、テストの点数はいつも芳しくなく、家に帰れば母親にそれをねちねちと責められ、僕の安らぎは夢の中にしかなかったのだ。
夢の中でだけは、勇者にも、悪魔にも、妖精にだってなれる。
僕は、不思議と見る夢をコントロールすることができて、夢の中ではいつでも誰よりも強くいることができた。
だから、学校でいじめられようが、家で母親にヒステリックに怒鳴り散らされようが僕は我慢できたし、特にそれを苦痛にも思わなかった。
だって、夢の中では僕は天才で、母親は僕を褒めるし、いじめてきた奴らを逆にいじめ返すことができるんだから。
そんな風に、夢の中では王様だった僕も、大学に通うようになった。
パッとしない大学で、就職の事を考えると憂鬱にしかならなかったけど、未だに夢では思い通りにすることができたから、そこまで辛くもない。
ある日、僕が見た夢は妙にリアルだった。
いつものように大学に出かけ、退屈な講義を聞いて、ノートに板書をする。
僕の周囲には友達が一人もいなくて、僕はそれを気にしないフリをして音楽を聞いていた。
お昼休みには、トイレで急いでサンドイッチを詰め込んで、その後は次の講義がはじまるまでスマホをいじる。
おかしい、いつもなら夢のなかでは、なんでも僕の思い通りになるのに。
そう思いながらトイレを出ると、大学のミスコンで優勝した女の子が、もじもじとしながら僕の服をひっぱってっきた。
「私、ずっとあなたのことがね、好きだったの。よかったら、つきあってください!」
ぺこっと彼女がおじぎをすると、ふわりといい香りが漂ってくる。
なんだ、ちゃんと思い通りになるじゃないか。
[gads2]
そう思った瞬間に、目が覚めた。
さっきまで夢でやっていた行動を、もう一度僕は繰り返す。
パジャマを脱いで、適当な服を着て、そこでふと、これも夢なんじゃないかという疑念がふつふつと沸き上がってきた。
そう思った時、僕の目の前がぐにゃりと歪み、目の前から大福が飛び出してきた。
そう、ちょうど食べたいと思ってたんだった。
手を伸ばして食べようとした瞬間に、目が覚める。
疲れを感じながら、僕はパジャマを脱いで、適当な服を着た。
部屋の扉をあけた時に、これも夢なのではと疑問に思う。
その瞬間、床が抜けて僕は奈落へと落ちていく。
でも大丈夫、これは夢だから、僕は空を飛べる。
僕の肩甲骨からは翼が生えて、自由に空をとぶことができた。
このまま月まで行こう、そう思って上昇気流にのろうとした瞬間、目が覚めた。
いい加減イライラしはじめた僕は、もう夢でもなんでもいいからと支度をして家を飛び出した。
その時、不注意な車が飛び出してきた。
でも大丈夫、だってこれは夢だから、僕は片手で車をとめることができるはず。
[gads]