いとこの真由美は、絵を描く仕事をしています。
仕事を始めたばかりのころは、好きな絵では収入が成り立たないため様々な絵を描いたそうです。
その中でも一枚三万円で売れた絵があったといいます。
その仕事は、真由美の画集サイトにきた依頼でした。
依頼主は、エロティック・グロテスク愛好家に向けたサイトを運営しているらしく、そういったイラストを集めて有料画像として公開するイベントをしていたそうです。
真由美の可愛らしい絵が好きだというのですが、
「あなたの心の裏には全く違ったグロテスクな気持ちがあるはずです。それを絵にしてほしいです。」
という依頼内容で面白そうだと思い彼女は引き受けました。
絵が完成すると依頼主からは、約束どおり三万円の振込みがありその頃は喜んでいたそうです。
しかし真由美は、完成した絵を見ていると背中に違和感を感じるという理由で原画を見返したりせず部屋の隅に裏にして置いておきました。
数日後、絵の反応がよかったらしく数枚追加依頼がきました。
以前の絵を見直そうと部屋の隅に置いた絵を手に取ると絵が真っ黒になっていたそうです。
すーっと指でこするとばらばらと黒いカスが落ち、絵の具が見えたのですが、その黒いカスがつぶつぶしていてよく見ると小さいな黒い虫の死骸だったのです。
驚いた瞬間絵を落としてしまい全ての黒い虫がざらーっと落ちきるとその絵の全体が見れました。
しかし以前描いた絵とは何かが違い、真由美は怖くてその絵を残し部屋を出て行ったそうです。
あとから彼氏と一緒に見に行ったときには、絵の存在自体がなくその後描いた絵も不評だったそうです。
それっきりの仕事でしたが、報酬はたくさんもらえて当時は助かったといっています。
しかし二度と自分の心の闇で絵を描きたくないと真由美は言うのです。
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