私は仕事の都合である町に引っ越しました。
古風な家並みの多い、空気のきれいな静かな場所でした。
町の中心には大きな公園があり、休日をその公園で過ごすのも楽しみでした。
私と同時期に、同じアパートに引っ越してきた男性と仲良くなり、休日は一緒にお酒を飲むこともありました。
町の人とも良い関係を築くことができ、仕事も順調にこなしていました。
その年の秋、回覧板でお祭りがあることを知りました。
そして、その回覧板を持ってきてくれた人は、私が新参者であることを知ると、絶対にお祭りに参加するように、と念を押していました。
何だろう、新参者は挨拶でもしなければならないのかと心配していましたが、そんなことはない、ただのお祭りであることを教えてくれました。
場所は町の中心にある公園だったのと、お祭りの雰囲気も嫌いではなかったので、きちんと参加する旨を伝えました。
回覧板には「厄払い祭」と書かれていました。
日程をきちんと確認して、隣の部屋に住んでいる男性に回覧板を回しました。
彼も、できる限り祭りに参加すると言っていました。
祭りの当日、時間通りに私は祭りに参加しました。
町中の人が参加しているようで、広い公園がぎゅうぎゅうでした。
祭りの規模自体はそこまで豪勢なものではありませんが、雰囲気はなかなか良かったです。
しかし、隣人の彼はいませんでした。
できる限り、と言っていたし、都合が悪くなったのだろうと思い、一人でのんびり過ごしました。
その数日後、彼が交通事故で亡くなったことを知りました。
亡くなったのは、祭りの翌日でした。
見通しの良い交差点で、彼は車に轢き逃げされてしまったそうです。
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その後、また回覧板が回ってきました。
その人に隣人の不幸を伝えると、彼が祭りに参加していないことを言い当てました。
確かに祭りでは姿を見なかったのですが、どうして知っているのかを聞いてみると、祭りの翌日に亡くなったのがその証拠だと言いました。
その人は続けて、厄払い祭に参加していない以上、厄に殺されても文句は言えない、と言いました。
あとで詳しく調べてみると、この土地には自然と厄が集まるようで、祭りの時期に最も強まるのだとか。
それを払うための祭りに参加しないと、厄に殺されてしまうのだとか。
老若男女問わず、さまざまな方法で死んでしまうのだとか。
人によっては、生きながら火に焼かれて苦しみながら死んでしまったのだとか。
翌年以降も、私は祭りには欠かさず参加しています。
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