集落を滅ぼした巨木の祟り

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その集落は自然に囲まれたのどかな場所にありました。

都会の喧騒からは遠く、しかしながら交通の便はある程度良かったため、時折どこか遠くの町から休暇を満喫するためにやってくる人がいたほどです。

一応、集落には宿泊のための施設もありましたが、多くの人数を収容できる規模ではなく、観光資源としては成り立ちませんでした。

ある日、集落の代表である人物が老衰で亡くなると、彼の息子が集落の有力者を味方に付け、強引に集落の代表におさまりました。

集落の代表となった彼は、村を観光地化するために山を切り崩すことを決めます。

周囲の反対を権力で黙らせた彼は、工事や建設のための業者や機械を集落に呼び寄せ、周囲の自然をあっという間に破壊していきました。

その中には、集落にとって信仰の対象でもあった巨木もあり、建設の邪魔だと言って無慈悲に切り倒しました。

彼の横暴に付き合っていられない住民は次々と集落を出て行きました。

その頃から、集落では体調を崩す人が続出します。

巨木の祟りだと恐れた住民が、さらに集落を出ていき、集落の人口はかつての半分以下となってしまいました。

そんな折、大雨で土砂崩れが起き、集落を襲いました。

集落だけでなく、集落への唯一の連絡手段となる道路や橋を一気に飲み込み、集落は陸の孤島と化しました。

さらに、体調不良の正体は伝染病の一種であり、土砂崩れで医者が亡くなった状態の集落では、次々と死者が続出し、一人を残して全員が亡くなってしまいました。

唯一、命からがら集落を脱出した青年は、集落の代表となった人物の息子でした。

彼は集落の開発に反対でしたが、父親の下を離れるには彼は幼すぎました。

そんな彼は伝染病にかかりながらもなんとか付近の町までたどり着き、治療の甲斐あって一命をとりとめました。

その噂を聞いた元集落の住人が彼のもとにお見舞いに行くと、彼はこのようなことを話しました。

「切り倒した巨木から黒い『もや』のようなものが出てきて、集落全体を覆うようになっていた。ただ、大人たちはそれが見えていないようだった。もやの黒さが一層強くなったとき、大雨と土砂崩れが起きたんだ。まるで、巨木の祟りのようだった。」

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