死者の通り道
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ある男の子が通っていた小学校では、死んだ人だけがとおることができる「死者の道」があるという噂が流れていました。
死者の道は、死んだ人だけが行き来できる道で、数キロ先までの道のりを数分で行き来できるという話でした。
まるで「ワープ」のような話に心を躍らせる生徒も多く、友達と一緒になって死者の道を探すのが一時流行ったくらいです。
彼も、友人たちと一緒になって死者の道を探していた生徒の一人です。
学校の帰り道や休日には友人たちと探検をするのが当たり前になっていて、ちょっとした山くらいなら平気で登り降りするくらいにあちこち歩き回っていました。
何かが起きても大抵は他のメンバーが助けに入るなどのチームワークを発揮し、町のあらゆる場所を探検していました。
まあ、さすがに天気が悪かったり、、風邪をひいているときは遊びはしませんが。
そんなある日、彼は珍しく一人で探検していました。
いつも一緒の友人たちは体調を崩していたり親戚の家に行っていたりで、誰も誘うことができなかったのです。
とは言え、彼の家族も何かしらの用事で忙しかったので、たまには良いかとも思い、一人で探検をすることになったのです。
今回は、普段は危なくて近づかない、山の麓にある岩場に向かうことにしました。
身軽な彼ならそこも探検できると思ったからです。
しかし、岩場を探検していた彼は足を滑らせて数メートル下の岩場まで落下してしまいます。
どれくらい経ったか分かりませんが、彼は目を覚ましました。
不思議と、落下時の痛みはありません。
探検を再開しようとした彼の目の前には、ちょっとしたトンネルのような通路がありました。
先程はこんなもの見ていないのに、とも思いましたが、未探検の場所であることは確かなのでさっそく行ってみることにしました。
暗くて何も見えませんでしたが、、数分で目の前に光が見えました。
その先には、見知らぬ町が広がっていました。
日本ではあるようですが、彼が今まで行ったことのない町でした。
探検を続行しようとしますが、そこにあった時計を見ると門限まで残り言わずか、岩場からなら走れば何とか間に合う時間でした。
慌てて彼は来た道を引き返します。
すると抜け道の途中で見知らぬ女の子に出会いました。
彼を見た彼女は「君は違うね、こっちに来ちゃダメだよ」と言って、暗がりの奥に行ってしまいました。
急いでいた彼はあまり気にせずに元の場所まで引き返します。
しかし、そこからの彼の記憶は曖昧で、気がついたときにはどこかのベッドの上で寝ていました。
頭の痛みを感じた彼は目を覚まし、両親に怒られたことくらいしか覚えていませんでした。
後で聞いた話では、彼は岩場で頭から血を流して倒れているのを近くの工事関係者に発見され、病院に運ばれたとのことです。
しかし、彼は目を覚ましてから抜け道を通った記憶がありましたが、頭の痛みのせいで忘れていました。
それから数年後、高校生となった彼は隣の県の大学に通っていました。
隣の県と言っても実家も大学も県境なので、実家から自転車で通っていました。
それでも自転車で30分はかかる距離でしたが。
ある日、予定よりも早く帰宅することになった彼は、いつも使っている道とは別の道を通りました。
その途中、初めて通る道なのに見たことがある景色の場所にたどり着きました。
数分後、彼はそこがあの岩場での事故の日に見た景色と同じであることに気がつきます。
しかも、あの日見た時計もあります。
しかし、あの岩場からこの場所まで自転車でも30分はかかる距離で、どう考えてもあの日歩いて来れる場所ではありませんでした。
そこで彼は、かつて小学校で流行った「死者の道」のことを思い出します。
そして、その途中で出会った彼女について行っていたら自分はどうなっていたかを想像し、彼は冷や汗を流すのです。
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