「枯れ木さま」と枕元の水

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私と友人の2人で、ある村を訪れていました。

その村はとある作物が有名な場所で、それを取材するためにやって来ました。

農家の方の取材や写真の撮影が終わり、本来はその日のうちに帰るはずでしたが、予想以上に時間がかかってしまったため、その日は村で1泊して翌朝に戻ることにしました。

村人のご好意で、使っていない空家を使わせてもらいました。

空家とは言え、しっかりと手入れされているようで特に不自由や不潔な感じはありませんでした。

ただ、一つだけ気がかりなことがありました。

その空家を紹介してくれた人が、寝るときには枕元に水を置いておくように、と言うのです。

その人からは寝具一式と一緒に2人分のお猪口を渡されました。

寝る前に井戸で水を汲み、お猪口に入れて枕元に置いていくようにしなければならないそうです。

私たちはとりあえず了承しておきました。

翌朝、友人は脱水症状を起こしていました。

すぐさま医者に診てもらい、その後は近くの町の病院に運ばれていきました。

村を出るとき、私は村人から話を聞きました。

彼は、枕元に水を置かずに寝たのだろう。

だから、「枯れ木さま」に水を吸われたのだろう、という話です。

枯れ木さまというのは、村の中央にそびえ立つ、1本の枯れ木なのだそうです。

枯れたまま、何年もそのままそこに立ち続けているそうです。

そして、夜な夜な村人から水分を吸い取ろうとするのですが、枕元に水を置いておけばそれが身代わりになるそうです。

確かに、今朝起きた時にはお猪口の水が減っているように思えました。

彼は面倒臭がりなので、お猪口に水を入れなかったのでしょう。

彼は結局命に別状もなく、すぐに退院することができました。

彼は夢の中で、自分は植物になっていて、日照りで枯れていく夢を見たそうです。

彼は笑いながらそのことを話していましたが、彼が脱水症状を患った原因を聞いていた私は、乾いた笑いしかできませんでした。

彼にはそのことを話せずにいます。

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