古時計と祖父の死

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彼の祖父は時計技師で、祖父の家には数多くの古時計が飾られていました。

高価なものもありましたが、祖父は彼に好きに触って良いと言ってくれていました。

しかし、その中で唯一、誰にも触らせていない時計がありました。

その時計は、鍵付きのガラスケースの中に安置されていて、見ることはできても触ることはできませんでした。

そのガラスケースに触ろうとするだけで、普段は優しい祖父も血相を変えて叱りつけてきます。

ある日を境に、祖父は体調を崩して寝たきりになっていました。

ある日、彼は家族とともに祖父の家を訪ねていました。

寝たきりとは言え、祖父は比較的健康そのもので、会話などには不便していませんでした。

とは言え、いつ容態が急変して亡くなってしまうかはわからなかったので、彼らは出来るだけ祖父との時間を作ろうと考えていました。

その日は訪問看護師がやってくる日で、彼は邪魔にならないようにと祖父の工房に行きました。

時計を見ていれば、暇つぶしになると考えたのです。

相変わらず、祖父の工房は時計だらけでした。

しかし、既に祖父が立ち入らなくなって久しいためか、ゼンマイが切れていたり錆び付いたりして、動いている時計はほとんどありませんでした。

そんな中で、かつてと変わらずにしっかりと動き続けている時計がひとつだけありました。

それは、ガラスケースの中にある例の時計でした。

ゼンマイにしては長持ちしていますが、とても電池で動いている時計だとも思えませんでした。

彼は、工房の机の中からガラスケースの鍵を探し出し、ガラスケースを開けて間近で観察しようと考えました。

数分後、鍵を探し当てた彼はガラスケースを開け、中の時計を取り出そうとしました。

しかし、手を滑らせてしまい、時計を床に落としてしまいました。

その時計は、床に叩きつけられてバラバラに壊れてしまいました。

その直後、祖父の部屋の方で騒ぎが起きているのを感じました。

時計を壊したことがバレたのかと思った彼は、すぐさま工房を出て祖父の部屋まで戻ることにしました。

すると、両親から工房にでも行っていなさい、と言われ、彼は工房に戻りました。

その後、祖父が亡くなったことを聞かされました。

急に容態が悪くなり、間もなく亡くなってしまったそうです。

そう、時計が壊れたのと同時期でした。

まるで、あの時計が祖父の命そのものであるかのようでした。

彼は、自分が祖父を殺してしまったのではという自責の念に苛まされることになります。

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