友人の家には小さいながらも美しい「赤」と「青」の宝石がありました。
何の宝石かは分かりませんが、普通の宝石とはどこか異なる輝きを放っていました。
ある日、友人の一人がその宝石を見て「赤い方を譲って欲しい」と言ってきました。
持ち主の友人は「赤い方ならば構わない」と言って、その友人に赤い宝石を売り渡しました。
持ち主の友人曰く、
「本当は青い方だけ欲しかったのだけれど、前の持ち主が『赤と青、両方一緒でなければ売ることはできない』と言うから、仕方なく両方買ったんだ」
ということらしく、彼としても厄介払いのようなものなのだとか。
実際、「厄介払い」という言葉は間違いなかったようです。
赤い宝石を買い取った友人は、その日を境に怪我をすることが増え、落し物や無くしものを頻繁にするようになりました。
それだけではなく、一緒に住んでいた家族にまで何かしらの不幸が訪れるようになりました。
最終的に彼はその宝石を手放すことを決意するまでに3回ほどの入退院を繰り返していました。
逆に宝石を売却した彼の方は、赤い宝石を手放して以来、無くしていたものが見つかったり、宝くじが当たったりと、何かしらの幸運が彼に訪れていました。
彼がその幸運の正体が手元に残った青い宝石のおかげであることに気づくまでには時間がかかりました。
なにせ、宝石を手に入れてから数年が経っていましたので。
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赤い宝石を買い取った友人は、持ち主の友人に赤い宝石で不幸になったことについて文句を言いましたが、持ち主の友人は今までそんな不幸に見舞われたことがないと、彼の文句を突っぱねました。
宝石を買い取った友人は、しぶしぶ引き上げていきました。
私は、霊感のある友人にその宝石を見てもらいました。
すると、座敷わらし並に幸運をもたらす何かが宝石に憑いていると説明しました。
しかし、持ち主の友人は今までそこまで幸運が訪れてはいないことを話しますが、霊感のある友人は「そんなことはない」と声を強めて説明しました。
彼は、「もしかしたら今まで青い宝石の幸運を遮るほどの強い悪運が付きまとっていたのかもしれない」と説明しました。
ただ、彼は続けて、「この幸運を遮るほどの不幸だと、最悪人が死ぬレベルだ」とも説明しました。
私たちの脳裏には、例の赤い宝石が浮かびました。
赤い宝石がその後どうなったのかは知りません。
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