その公園は昔、惨殺死体によって一時期有名になっていた場所です。
殺された男性の死体が、腕や足などのパーツごとに切り刻まれて捨てられていたという話です。
その犯人は既に逮捕されたのですが、聞いた話では殺された男性の体の内、いくつかのパーツは発見されていないままなのです。
おそらく、野良犬などに持ち去られたのでしょう。
結局、すべてのパーツが見つからないまま捜査は打ち切られたそうです。
その男性には身寄りがいなかったそうで、遺体がきちんと揃わない状態でも誰も文句を言わなかったそうです。
その公園では夜な夜な、不審者が出没するということで周辺に注意を喚起されていました。
普段はその公園に近づくことがなかったので、私はその話を適当に聞き流し、忘れていました。
ある日、近所に用事があったのですが、その用事に時間を取られてしまい、夕方には自宅に帰れるはずが、帰ろうとした時には既に真っ暗になってしまいました。
最短距離では夜道には危険と判断(道が狭く、高低差が激しくて危険だったから)し、少し遠回りになる代わりに安全なルートを選ぶことにしました。
その際、公園を迂回するよりも突っ切っていくほうが早いことを思い出したので、私は夜の公園に足を踏み入れることにしました。
公園内は電灯が少なく、かなり暗かったのですが、道を照らすには十分な光量だったので道を誤ることなく進んでいました。
その途中で妙な人影に遭遇しました。
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何が妙かと言えば、そのシルエットです。
わずかな明かりでははっきりとは見えませんでしたが、どうにも右腕と左足が無いように見えたのです。
実際、その人影は片足でけんけんをするように歩いていました。
その人影は私に気がつくと、右腕と左足の場所について聞いてきました。
何のことか分からなかったので無視しようとすると、急に唸りながら私に飛びかかろうとしたので咄嗟に避け、相手がひるんでいる間に逃げ出しました。
その日はパニックに陥っていたのですが、翌日になって思い返すと、公園の不審者の話と、例の惨殺死体の話を思い出し、怖くて誰にも話せないままになってしまいました。
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