金縛りの度、近づいてくる人影
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私は、大学進学をきっかけに一人暮らしを始めることにしました。
大学の学生寮を利用するつもりでしたが、ある事情で夏まで利用できないということで、それまでは近くのアパートの一室を借りることにしました。
家賃がかなり安かったのです。
なぜなら、いわゆる「ワケあり物件」というやつで、幽霊の噂が絶えないアパートだったのです。
しかし、そんな話を全く信じていなかった私は迷わずその部屋を借りることにしました。
バイトをする予定もありましたし、貯めていた小遣いでも夏までなら十分に家賃を払うことができました。
その部屋は、とても幽霊が出るような部屋とは思えないほどに綺麗な部屋でした。
私は最低限の荷物を部屋に運び入れて、大学の入学式まではその部屋でのんびりと過ごすつもりでした。
入学前に説明会などで知り合った友人もいるので、部屋に呼ぶことも考えていました。
なんなら、学生寮は諦めて、この部屋に4年間住み続けることも視野に入れていました。
しかし、初日の夜、新品の布団で寝ていた私はふと夜中に目を覚ましてしまいます。
不思議な感覚に見舞われた私は少し起きようと思いましたが、体が全く動きませんでした。
生まれて始めて「金縛り」にあいました。
初めての感覚に恐怖していると、視界の隅に妙なものが見えました。
そこに物を置いた覚えはなかったのでなんだろうと視線を向けてみます、何とか眼球は動かせたのでそれを見てみると、そこに見えたのは人の影でした。
侵入者の存在に驚く私ですが、金縛りのせいで動くことも、声を上げることもできませんでした。
あまりの恐怖に私は気を失ったのでしょう、気づいたときには朝になっていました。
その人影の姿もありませんでした。
次の日の夜も夜中に金縛りで目を覚まし、視界の隅には謎の人影が見えました。
しかし、その人影は何をするでもなく、ただ。そこに佇んでいるだけでした。
翌朝には金縛りも解け、人影はどこにも見当たりませんでした。
それが何日か続いたある日、金縛りで目を覚ました時に気づきました。
毎夜のように金縛り、視界の隅には人影、これはいつもどおりでした。
しかし、ひとつだけ変わっているところがありました。
その人影なのですが、どうにも位置がずれているように感じました。
しかも、徐々に私の寝ている場所まで近づいているのです。
そして、近づいているせいかその人影の表情も少しわかるようになりました。
人影は、確かに二ターっと笑っていました。
学生寮に無理を言って使える部屋をあてがってもらい、すぐさまアパートを出ました。
アパートの幽霊の噂は大学に通っている間中、私の耳にも入ってきました。
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