アパートからの電話
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これは私の兄が実体験した話です。
私の家は中国地方で細々と不動産屋をしています。
父と兄で従業員1人で経営をしています。
その日は、蒸し暑い夏の夕暮れどきでした。
会社へある住人から電話がかかりました。
「アパートを出たいので、アパートに来て欲しい」と。
その時電話を取ったのは兄でした。
兄は翌朝伺うと約束をし電話を切ったそうです。
そして兄は、アパートに住んでいる住人の家賃が半年間滞納されていることに気づきました。
明日その話もしなければならないなと思いその日は帰宅しました。
そして翌朝、兄はアパートへ向かいました。
そのアパートは築年数が古く、そろそろ建て替えを行わなければならない程の物件でした。
兄は、電話があった住人の住むアパートの前に立ち、ドアチャイムを鳴らしました。
「ピンポーン」
応答がありません。
「不在なのかな?」
と思いましたが約束をしていたので、何度かドアをたたいたり、チャイムを鳴らしましたがいっこうに応答がありません。
大家さんに連絡を行い相談をしましたが、半年ぐらい前から家賃が滞納され連絡が取れないとの事でした。
兄は住人より電話があった事を伝えると滞納分の家賃支払いがされればいいという話になり、兄に全てを一任するとの話でまとまりました。
兄は前日に住人から連絡があった為、少し様子を見る事にしその日はアパートから立ち去りました。
翌朝、兄は会社の着信履歴より住人へ連絡をしました。
すると昨日までは繋がっていたはずであった電話番号は、不通の状態になっていました。
電話からは「お客様の電話はご都合によりお繋ぎできません」とアナウンスが流れてきたそうです。
兄は不審に思い、アパートへ向かいました。
そして、またその電話番号へ連絡するとやはり同じように繋がりませんでした。
兄は何か胸騒ぎがし、アパートのポストを確認しました。
そこにはその住人宛の郵便物が大量にありました。
兄は郵便物をまとめ、再度アパートのチャイムを鳴らしましたが応答はありませんでした。
1週間ぐらい様子を見る事にし、その場を立ち去りました。
そして、数日がたったある日、大家さんから連絡が入りました。
そのアパートの住人が住む部屋から異臭がするとの連絡でした。
近所の住人から異臭がするからなんとかして欲しいとの連絡が入ったのです。
兄は大家とアパートで落ち合う事を約束し会社を出ました。
そしてアパートに到着すると大家と一緒に住人の住む部屋へ向かいました。
いつものようにチャイムを鳴らしましたがやはり応答はありません。
そして電話も掛けましたがやはり不通の状態でした。
大家は兄へ「合鍵を持っているから一緒に部屋に入って貰えないか?異臭がガス漏れだと危険だから」と言ってきたそうです。
確かにガス漏れであれば大事故になりかね無い為、兄は大家に同意しました。
「ガチャ キーーッ」
部屋のドアを開けました。
部屋を入るとすぐ台所がありました。
ガス漏れしていないか確認をしましたが特に漏れている様子はありませんでした。
そしてあたりを見回すと、ゴミが散乱しておりハエがたかっていました。
「○○さんいますかー?」
と兄は問いましたがやはり応答はありません。
そしてリビングに入る為引き戸を開けると、気を失いそうなほどの異臭が鼻をつき、そのリビングには布団が敷かれていました。
そしてそこには布団をかぶった住人らしき人間が寝ていました。
「○○さん?起きて下さい」
応答がありません。
そして、まさかと思い兄は布団をめくると、そこには半分白骨化した住人らしき遺体がありました。
その後、兄は警察を呼び、司法解剖を行う事になりました。
住人の家族に連絡もしましたが、音信普通でした。
司法解剖の結果、その住人は腐乱した状態からみると約半年ぐらい前にお亡くなりになられていたそうです。
兄は血の気が引きました。
何日か前の電話はなんだったのか・・・
確かに住人からの電話であったはず。
そして電話番号は支払を行っていなかったので、数か月前から止まっていたそうです。
そうですよね、
半年前にはお亡くなりになられていたはずなので支払えるはずありません。
兄はこう思ったそうです。
住人はそろそろ出なければ迷惑かけるからわざと霊になって電話をしてきたんだろう。と。
そのアパートは今でもあります。
ただその部屋に誰かが住んでいるかは知りません。
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