山の麓の鳥居

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私の住んでいた町には小さな山があり、その入口にあたる部分には大きな「鳥居」だけがありました。

最初は入口の門のようなものかと思っていましたが、よく考えれば鳥居だけがあるのはおかしいと思うようになりました。

神社があるわけでも、かつてあったという話もなく、山そのものが祀られているというわけでもなさそうです。

その鳥居の意味を知るのはその町から引っ越す日の数週間前のことでした。

ある日、友人宅からの帰りが遅くなってしまった私は、暗がりで道を間違えてしまい、遠回りになる山の麓を経由するコースに入ってしまいました。

それに気づいたときには既に引き返すのも遠回りになる位置で、そのまま進むことにしました。

そして、山の麓の鳥居のあたりに来た時です。

鳥居のあたりには何もないはずなのに、妙に騒がしくしていました。

何だろう、縁日でもやっているのかと思いましたが、特にそのような行事の予定は聞いていませんでしたし、時期的にも縁日をやるような日ではありませんでした。

気になって少しばかり鳥居に近づいてみると、そこには妙な格好をした人たちが集まっていました。

妙なのは格好だけではありません。

腕や脚、中には首から上がない人までいたのです。

その時、彼らがこの世の生ある人ではないということに気がつきました。

私が後ずさりしていると、急に何かにぶつかってしまいました。

そこには、鼻のあたりから上が無い人が立っていて、私に向かって手を伸ばしてきました。

それをかいくぐって、私は一目散に逃げ出しました。

次の日、休日を利用してその鳥居のところにやって来ると、お坊さんが何人も詰めかけていて、何か儀式のような、よく分からないことをしていました。

近くにいたお坊さんに声をかけると、早くここから立ち去って、ここで見たことは内緒にしていてくれ、と怖い顔で言われました。

昨日の光景ほど怖くはありませんでしたが、鬼気迫るその態度に恐れをなした私はすぐさま帰宅しました。

あの鳥居に込められた意味の深い内容までは分からなかったものの、決して無駄に立っているわけではないことを知りました。

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