私の友達に、神社仏閣を巡るのが趣味のS子がいました。
S子は暇さえあれば、地図とにらめっこをし、神社を探し出してはカメラ一つ持って出かけていき神社の写真を収集する旅をするのがライフワークになっていました。
普通の人の旅行とは違い、ひたすら神社を転々と巡るだけなので、行動は何時も一人だったようです。
そんなS子は霊感マニアでもあり、心霊現象などとても詳しく霊能力者なみの知識を持っていて、よく周りの人の相談に乗っていました。
ある日、そんなS子を誘って心霊スポットに行こうという話が持ち上がりました。
さっそく心霊スポット巡りにS子を誘うと、「暇だから付き合うよ!」との返事だったので、S子を含む女子4人で近くの幽霊が出るという噂のトンネルに行くことにしました。
最初の内は元気のよかった私達ですが、トンネルの近くまで行くと、真暗で鬱蒼と雑草が生い茂っていていかにも何かが出そうな雰囲気にだんだん怖じ気付いてきました。
「やっぱ、怖いからやめようか。」
「ここ絶対に危ないよ!」
私達が弱気になって話していると、S子が言いました。
「大丈夫よ!ここはそれほど怖い場所じゃないよ。」
「トンネルに入ったら、私から離れないようにしてれば大丈夫。」
S子の自信たっぷりの言葉に、少し安心した私達はトンネルの中に入ることにしました。
トンネルの中は壁面はシミだらけでジトッと重い雰囲気で今にも幽霊が出てきそうです。
「ここ、なんか寒いね・・・」
「肩が重くなってきた・・・」
霊感の強いM子が言い出した時です。
「パチッ!」
いきなり、S子が柏手を叩いたのです。
その瞬間、トンネルの雰囲気が変わりました。
今までの寒くて怖い感じから、普通のトンネルに戻ったのです。
「もう戻ろうか?」
S子が言い出し、皆トンネルを後にしました。
S子の話では、私達が恐怖心から邪気を呼び込みそうだったので柏手の音の波動で邪気を払ったと言いました。
恐怖心は、本来はそこにいないはずの浮遊霊等を集めてしまうので、そういう自分の恐怖心から心霊現象が起きているのがほとんどの心霊スポットの現実だと言います。
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「でも、S子は何故そんなに霊感が強いの?」
「幽霊も見えてるんでしょ。」
私達が聞くと、S子は笑って答えました。
「私霊感なんて無いよ。」
「幽霊も見たことないし、みんなと同じだよ。」
私達がそんなはず無いと反論するとS子は言いました。
「私は神社巡りが好きなの知ってるでしょ。」
「神社ってね、噂になる心霊スポットなんかよりも全然怖い所なんだよ。」
「とくに手入れされていない寂れた神社なんかは本当にヤバくて私も何回も霊障に合ってお祓いして貰ったりしてるうちに慣れてきちゃっただけなんだよ。」
S子の話では、神社というのはただでさえ浮遊霊達が集まりやすい場所で、手入れもされていないような寂れた神社になると力の強い悪霊なども棲み付いていたりするらしいです。
S子は神社巡りの時は必ず塩を持っていき、何時も明るい事を考えるようにしていて、それでも体に変調が現れるとすぐに霊能者のところに行くと言ってました。
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