聞いてはいけない悪霊の声

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彼は右の耳が少し聞こえにくくなっています。

それを彼が自覚したのは、彼がまだ5歳の時でした。

母が出産を控えていたので、父と二人での生活が続いていましたが、仕事の都合で彼の父親が家にいられなくなり、祖父母の家に預けることになったのです。

祖父母、と言っても父方の祖父母は他界していたので、母方の祖父母の家に預けられることになりました。

彼は祖父母に歓迎されました。

年に数回しか会う機会がなかったので、彼も楽しみにしていました。

ただ、彼が一人で遊んでいる時に祖父母と父がこんなことを話していたそうです。

「よりによってこんな時期に連れて来なくても」

「数日だけなのでどうかお願いします」

「それ自体は良いんだが、時期がねえ」

という感じです。

祖父母は忙しいのかな、と思った彼は、世話になる間は我が儘を言わずに良い子にしていようと決めました。

その日の夕方、祖父は彼にこう言いました。

「月が出ておらん日は絶対に外に出るな」

と言われた彼は、理由も問わずに了解しました。

元々、夜は早く寝てしまうので、彼にとってはどうということはありませんでした。

その次の日の夜、彼は珍しく夜に目を覚ましました。

トイレに行きたくなったのです。

彼の祖父母の家は家の外にトイレがあったので、彼は祖父との約束を忘れ、トイレに行くために家を出ました。

トイレを済ませた彼は祖父母に見つかる前に家に戻ろうとします。

すると向かって右の方から不気味な音が聞こえてきました。

怖くなった彼はその場から動くことも、振り向くこともできずにその場に留まってしまいます。

音が近づくにつれ、音の正体が「声」であることに気がつきました。

「ヨコセ ヨコセ」という声は徐々に大きくなり、彼が恐怖で動けなかったところに、家から祖父が飛び出して彼を家の中に投げ入れるように連れ込みました。

その日から、彼の右耳は若干聞こえにくくなってしまいます。

彼は祖父から体調の変化がないかを尋ねられますが、これ以上の心配をかけたくなかったので黙っていることにしました。

それから数年後、母方の祖父母も他界してしまったあとに、彼は母にその時のことを話します。

母は若干顔色を悪くしながら、「それは悪霊の仕業だよ。あの地方では子供の魂を奪いに来る悪霊がある時期にだけやって来るんだ。ちょうどあんたが言ってた時に被るね。もし、あの声を聞き続けてたら、じいちゃん達よりも先にあんたが死んでたかもね」と言いました。

悪霊の正体までは分かりませんが、母も若い頃に友人を亡くしているそうです。

悪霊に持って行かれたのが右の若干の聴力だけだったことに、彼はいささか複雑な思いでした。

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