彼は親族の葬儀のために、とある田舎町に来ていました。

本来は父親が参列するはずでしたが、どうしても抜けられない用事があり、彼が代わりに葬儀に出ることになりました。

彼はその親族とほとんど面識がありませんでしたが、大層歓迎されたそうです。

ただ、参加者用の滞在のための部屋が足りず、彼は近くの民宿に泊まることにしました。

ただ、彼はその民宿に行く前にとある噂を聞いていました。

それは、その民宿の女主人が殺人鬼であるという内容でした。

彼女は何度か結婚を経験していましたが、旦那は謎の死を遂げてばかりでした。

何度目かになって彼女の犯行が疑われましたが、その証拠は一切なく、あくまでも噂どまりでした。

親族はその噂を信じていないということと、その民宿以外に宿泊施設がなかったことで、その民宿に泊まることに決まりました。

とは言え、実際にはその民宿の女主人はとても殺人鬼とは思えないような柔らかな物腰で接している人物でした。

彼はその態度を見て、すぐに例の噂を忘れました。

通された部屋もとても綺麗でした。

彼は、どうしてそのような噂が流れているのかを疑うほどでした。

気になったことといえば、部屋の片隅にある大きな鏡くらいでした。

とは言え、普通の鏡だったわけですが。

部屋でのんびりしていると、突然女主人が部屋を訪ねてきました。

何か不自由はないかということですが、特に無いということを返しました。

暇なのかということを聞くと、例の噂のせいでお客が寄り付かないのだとか。

彼はすっかり噂のことを忘れていましたが、どうしても彼女からはそんな雰囲気は感じられませんでした。

しかし、視界の隅の鏡を見た瞬間に、彼は思考を停止せざるを得ませんでした。

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そこに映っていたのは、女主人ではなく、まるで山姥のような恐ろしい形相の何かでした。

彼が鏡を見ながら固まっているのを感づいたのか、鏡に写る山姥は急に鏡に向かって手を伸ばしました。

女主人は全く動いていませんでした。

そして鏡に写る山姥が鏡に手を届かせた瞬間、鏡は突然、音を立てながら割れ、倒れてしまいました。

女主人は鏡が倒れてしまったのかと思ったようですが、鏡をずっと見ていた彼の目には、鏡が割れてから倒れたのが見えていました。

例の噂の真相は分からないままでしたが、鏡に映った人物こそが噂の真相であると彼は確信したそうです。

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